一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 ――なにかの罠とかではないわよね? ドッキリとか。

「あの、リセ。私の代わりに、妹の病院代を支払ってくれて、ありがとうございました。払っていただいた分は、責任もって働いて返します」
「なんだ。その突然の他人行儀な挨拶は」
「え? だ、だって、夫婦といってもお金のことはちゃんとしておかないと」
「あれくらいたいしたことない。返す必要もない」
「でも……」

 リセはなにか言おうとした私の言葉を遮った。

「琉永の妹は近いうちに転院させる。あの病院じゃ手術はできないからな」
「手術って、千歳を助けてくれるの!?」
「待った」

 前のめりになった私をリセは手で制した。

「感謝されたくて助けた訳じゃない。それを理由に俺を好きになろうとするなよ」
「理由があるから、私はリセを好きになったわけじゃない……」
「けど、妹を理由に結婚しようとしていたからな。俺に義務を感じて欲しくない。俺は琉永と対等でありたい」

 リセは難しい顔をしていた。
 私がリセを好きだってこと伝わってないのか――伝わりきれてないのかもしれない。
 私はバッグからデザイン画を取り出した。
 
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