一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 恩未さんと紡生さんは、私を背中に隠し、ずいっと前に出た。

「その時の会話をボイスレコーダーで残してあるわ」
「うちのスタッフは全員、『Fill(フィル)』一筋。なめないでもらいたいね」

 女性の割に高身長な二人は啓雅さんと同じくらいで迫力がある。
 それに紡生さんの今日の服装は、なぜかパンク系。
 いつもスーツな恩未さんは、仕事ができる社長秘書っぽい。
 二人に気圧されて、私のそばに啓雅さんは近寄れない。

「う、うるさい。本当にここのブランドの人間は礼儀がなってない。おい! このままでいいと思っているのか!? 俺が立て替えた妹の病院代と父親の借金はそのまま残っているんだぞ!」

 妹の病院代と聞いて、いつもはふざけている紡生さんの顔が真顔になった。

「礼儀がなってないのはお前だっつーの!」

 ビシッとデコピンする紡生さんに、啓雅さんがぐあっと苦悶の声をあげて頭を揺らした。

「あれは痛い」
「紡生さんのデコピンは最強」
「最悪な男だったねー。琉永ちゃん、あんな男と結婚しなくて正解!」

 怖かったねと、他の人たちが頭を撫でる。
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