一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 ――悠世は跡を継がなくても。麻王家の長男だ。父さんたちは、口ではしょうがない奴だと言いながら、悠世の才能を買っている。

 風のように軽やかに、時代を読み、生き抜く悠世が麻王には必要だ。

「諦めたふりをしてるけど、諦める気はないんだろ。それこそ、性格が悪い」
「まあね」

 頭の中では、どう捕まえようか考えている。
 
 ――美しいローレライを手に入れるため。

「健闘を祈る」
「嫌みな弟だなぁ」

 俺の銀色の指輪を見て、悠世は笑った。

「簡単に手に入らないほうが面白い。理世もわかるだろう? 捕まえるのも楽しみのひとつだ」

 悠世が二本目の煙草を吸う前に、部屋の電話が鳴る。
 それと同時に、秘書がやってきた。

「専務。清中繊維の社長が、専務に会わせろと騒いでいますが。どうなさいますか?」
「来たか。通してくれ」
「よろしいのですか? 危険では?」

 秘書が心配そうにしていたが、これは想定内だ。
 
「俺もいよう。面白そうだ」

 悠世は帰らずに見物を決め、琉永の父親を待つ。
 秘書に案内され、やってきたのは、憔悴した様子の琉永の父親だった。
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