一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「なんのことかな?」
「いろいろとです」

 理世は不思議そうに首をかしげていたけど、自覚がないのも困り者だと思う。
 そんなことを私が考えて、使命感に燃えているとも知らない理世は、愛想笑いを振り撒いていた。
 私が席に戻った頃には疲れきっていたけど、キャビアがのった皿があって、テンションが上がった。

「これがキャビア……」

 黒い粒々のくせに王様のような存在感を放っていた。
 私の人生初キャビア。
 感動し、それを食べようとすると理世が声をかけてきた。

「琉永。大変で嫌になった?」
「ううん。まさか。ただね、わかってたことだけど、理世は本当に麻王(あさお)グループの専務なんだなって思ってたくらいよ」
「来年には社長になる」

 悪い顔をして理世は言った。
 そんな顔をする時の理世にはご用心。
 大抵、なにか仕掛けたか、仕掛けた後なんだから。
 それが私のためだってことも知っているから、怒れない。
 とはいえ、私にできるのは理世を見張ることくらいだった。
 今日の結婚式のドレスだって、理世の罠。
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