一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 夕暮れになって、店の外の灯りがともったことも気づかず、私は描き続けていた。
 お酒を飲む人も増えてきて、騒がしくなってもその声すら耳に入らず、黙々と描いて――

「お嬢ちゃん。そろそろ帰った方がいいんじゃない?」

 ――その声にハッと我に返った。
 私はどれだけカフェにいたのだろう。
 顔をあげると、隣のテーブルにサングラスをかけた女性が座っていた。
 スタイルがいい女性で身長もある。
 黒のテーラードジャケットに、体のラインを隠すシャツ、黒のパンプス。
 オールブラックでも、まったく重たく感じさせない着こなし。
 赤い口紅と首のストールは無造作に巻かれ、胸元にある大きめでシンプルなシルバーアクセサリーがワンポイントになっている。
 ストールはパリのストールブランドのオリジナルデザインのもの。
 私も一枚だけ持っているけど、ここまで似合ってない。
 サングラスで目は見えなかったけど、すぐに誰なのかわかった。
 だって、その人は――

「も、も、もしかしてっ! モデルのリセ!?」
「バレた?」

 リセはサングラスを少しだけずらして、くすりと笑った。
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