一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
第10話 諦めたくない場所
琉永(るな)ちゃーん。おっかえりぃー!」

 日本に帰国し、出勤した私を朝一番で出迎えたのは、デザイン事務所『Fill(フィル)』のトップデザイナーである紡生(つむぎ)さんだった。
 表情は明るいけど、目の下には濃い隈ができている。

「おはようございます。パリに行かせていただいて、ありがとうございました」
「うんうん、勉強になった?」
「はい。とても」
「う~。こっちはずっと徹夜だったんだよ~」
 
 やっぱり徹夜続きだったらしい。
 それなのに、このテンションでいられるのがすごい。
 もしかして、徹夜明けのテンションなのだろうか。

「今まで、型紙(パターン)を作成していたんですか?」
「うん、そーだよ。恩未(めぐみ)の仕事を手伝ってた」

 デザイン画が終わり、次の作業に入っていた。
 ノルマのデザイン画は、きちんと終わらせた紡生さんは、次の展示会に向けて動き出す。
 八月に行われる秋冬の展示会に出す服が並び始めている。
 展示会は重要なイベントで、商品の取り扱いはもちろん、新しい取引先を獲得するという目的がある。
 
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