一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「なんだよー。私の華麗なけん玉さばきを見せようと思ったのにさ。昨日はのったのにな……ほんとだよ?」

 しゅんっとして、机の上にけん玉を置いた。
 どうせ、けん玉をしているのは一週間か長くても一か月。
 早ければ、明日あたりにけん玉ブームは終わる。
 紡生さんは好奇心旺盛な性格で、興味を持ったら、なんにでも手を出す。
 けん玉の前はルービックキューブ、ヨーヨー、スケートボード、他多数。

「他の趣味はどうなったんですか」
「世界を目指せないことがわかってやめた」
「……けん玉で世界を目指すんですか?」
「そうだよ! かっこいいだろ!」

 紡生さんは親指を立て、自分を差して、意味不明のドヤ顔を見せた。

「大皿にものせられないのに、世界を目指すなんて、無謀じゃないですか?」
「わかんないじゃん! 明日には突然、私の秘めたるけん玉の才能が目覚めるかもしれない!」

 けん玉の前に本業であるデザイナーとして、世界を目指した方がいいと思う。
 これが冗談ならいいけど、本人は至って本気でマイペース。

「さあ! 一緒に世界を目指そう! けん玉で!」
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