政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 一際強く、奥に押し付けられ、中のものがビクンっと大きく動いたのが分かった。

 お互いにぎゅうっと抱き合って、乱れた息を落ち着かせる。

「浅緋、平気?」
「ん……大丈夫です」

息が落ち着いたところで、ゆっくりと身体を持ち上げた片倉が、浅緋の顔を覗き込む。

「ありがとうございます、慎也さん。とても、幸せです」
 はっ……と大きく息をついた片倉はうっすらと汗をかいていて、額に張り付いていた髪を浅緋はそっと手で避ける。

 その仕草に、片倉は浅緋をぎゅっと抱きしめた。
「頼むよ……煽らないで……」

 煽る……?分からないのですけれど……。


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