政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
「いいんです。それでも今回来たいと言ってくださった方々は、本当に父が懇意にしていた人たちで、私のこともまるで娘みたいに可愛がってくださった方達なんです。だから、きっと理解してくださると思うんです」

「ちょっと待って、この方達、浅緋のことを娘みたいに思っている?」
「はい!」

 浅緋はこの価値に気づいているんだろうか、と片倉は思う。

──きっと気づいてはいない。
 いいのだ。それが園村の意向なのだろうから。

「浅緋? そうしたら、これは僕らの結婚のお披露目みたいなものだよねえ」

「え……? そ、そんな風には考えていませんでしたけれど。確かにそうですね……」

 頬を染めてしまう浅緋を間近で見られるこのポジションはやはり、とてもいい。

 桜華会について片倉は今まで、浅緋のサポートをすることは考えていたけれど、他人事のように考えていた。

 園村の家のことなのだし、距離を置いた方がいいのだろうかと考えていたのだ。
 それがお披露目会に……ともなれば俄然やる気になってしまったのである。

「浅緋、和装ですよね?」
「どうしようかしら……」
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