初恋グラフィティ

私が戸惑っていると、恭平さんのお母さんは笑顔で続けた。




「今回のことはホントごめんなさいね…。お金のことで協力できることがあれば私も相談にのるから、あの子のこと、どうか許してやってね…」




私は何か言わなきゃいけないような気がしたけど、




「さっ、じめじめした話はこのへんで終わりにしましょ…。ほら、それ早く飲んじゃいなさい…。もうアイスが溶けちゃってるじゃない」




そんなことを言われて、何も言うことができなかった。






お母さんは私にホント気を遣ってくれていた。




クリームソーダをごちそうしてくれた上、




「そのコートは着て帰りなさい。返してくれるのはいつでもいいから」




そう言って、別れ際にはタクシー代まで持たせてくれた。




「早く家に帰って体を暖めなさいね。一応妊婦なんだから、体を冷やしちゃダメよ」




そう忠告してくれたお母さんの笑顔は、やっぱり私の心に強い印象を残した。



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