夏の風
「中学を卒業してから俺は定時制高校に入り、優里は私立の女子校に入った
俺はほとんど学校に行かず仕事が終わると仲間と遊んでいて…
優里はそんな俺に毎日説教するようになった
俺はそれがうっとうしかったんだ」
丈流くんは更にあたしを抱き寄せた
暑い夏だけど川沿いには爽やかな風が吹いていて、二人を優しく包んでくれる
あたしは丈流くんが話しやすいように何も話さず、ただ静かに相づちをうっていた
「優里のキツイ性格に俺は段々疲れてきて
別れを切り出した
その翌日…優里は手首を切ったんだ」
あたしは思わず息をのんだ
「優里の両親に呼ばれて俺は病院に行った
幸い命に別状はなかったらしいが、青白い顔で眠る優里が可哀想に思えて…」