ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

やがて映画が終わった。

恋が成就するという触れ込みのこの映画は、元々カップルの人たちはその恋がさらに続くと言われているだけあって、周りはカップルだらけ。

最終的には号泣映画だったため、涙する彼女の肩を優しく抱く男の人がほとんど。

だけど私たちは。

涙すら流せず、映画の余韻に浸っているからでもなくお互い無言で。

なんとなく、周りの流れに乗るように席を立つ。

映画を出ると外はもう暗くなっていて、


「帰ろっか」

「……うん」


言葉少ななのは、きっと伊緒くんも私を同じことを思ってるからだと思う。

それがわかって、胸がひりひりと痛んだ。
< 237 / 298 >

この作品をシェア

pagetop