ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

「……んだよ」


顔をふると、さらに前髪からぼたぼたっと水が落ちた。


「蛇口がそっち向いてて……マジ、わりぃ」


本当に悪いと思っているのか分からない顔でヘラッと笑う。

それが余計に腹立たしい。


「俺の機嫌、さらに悪くしてくれたな」

「機嫌悪いとこ悪かったな……てか、それってモモちゃんが元気ないのとなんか関係あんの?」

「……っ」

「モモちゃんこの交流キャンプすごい楽しみにしてたのに、今日は朝から元気がなくてさ、心配してたんだよ」


探るように、俺の顔色をうかがう。


「まあ……モモちゃんの元気がなくなる原因なんて、伊緒くん以外にないか」


そして、納得したようにつぶやく。


なんだよそれ。

俺意外にモモの元気がなくなる原因がないとか。

モモはお前が好きなんだから、お前じゃねえの。

……って言うのは、言わないけど。


「伊緒くんさー、モモちゃんのことマジでどう思ってるわけ?」

「……おまえに関係ねえだろ」

「関係あるんだよ。あいにく、俺はモモちゃんが好きだから」
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