ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

つられるように顔をあげて。やってきたグループを見て、息をのむ。

その一行は、宇野くんや学食で会った軽い茶髪の男の子……それから伊緒くんもいたから……。

ドクンドクンドクン……。

静かになったはずの鼓動が、また激しく動き出す。

もちろん、さっきとは種類の違う心臓のドキドキ。

そういえば、伊緒くんもハイキングっていってたっけ。

……どこかで会えたらいいなと思っていたけど、いま会うのは気まずいよ。


「葉山くん早いよ~」


伊緒くんのとなりにいるのは、あのぐりんぐりんに髪を巻いた女の子。

ジャージの袖をしっかりつかんでいるのを見ると、伊緒くんの腕を支えにして登っているみたい。

そんな光景に、胸にチクッと痛みが走る。
< 276 / 298 >

この作品をシェア

pagetop