元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
言われてシエラははっとした。
「被害者の傷は腹部にしかなかった……。即死しないのだから、その時点で息はあったはず。最初から殺すつもりで刺したなら、犯人は息のある状態のまま放っておかず、確実に死ぬまで何度も刺す方が自然……」
「適切な治療を受けなければどちらにせよ出血多量で死んでしまうでしょうが、痛めつけてじわじわと殺していくつもりでなければ、すぐに死を確認できなければ不安でしょうねぇ」
「だとしたら……そもそも、殺すつもりはなかった?もしくは、何らかの理由で腹部を刺すのが限界だった」
何らかの理由。例えば、身長や体力など、身体的な問題で。
頭の中でパズルのピースがはまった感じがした。
慌てて御者に声を掛ける。
「行先を変更してください!ダイアナさんの自宅がある通りへ!」