お前に愛を捧げる〜精神科ドクターの情愛
「私ね、剣崎くんと付き合っていたとは言っても、お互いに将来は別の人と結婚するって思っていたの、だから、剣崎くんとキスもしていなかった、今の旦那さんとも寝室を別にして、全く触れ合う事もないまま、過ごして来たの、それでよかったのに……」

「なんか言われたのか?」

「俺たちは夫婦なんだから、今夜から寝室を一緒にするって、すごく嫌だった、だって好きじゃないし、無理だと思ったの」

「何もされなかったか、怪我とかないか」

玲子は僕の慌てぶりにポカンとして「大丈夫よ、その前に逃げてきちゃった」と玲子はぺろっと舌を出した。

「玲子、良かった」

そう言って、僕は玲子を思わず抱きしめてしまった。

「戸倉くん」

玲子はびっくりした様子で、でもしばらく僕の腕の中でじっとしていた。

「玲子、僕じゃ駄目か?」

「何が?」

「玲子の側にいる男」

「今も私の側にいてくれてるじゃない」

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