・LOVER—いつもあなたの腕の中—
 けれど、思い当たることがあるとすれば。私が副社長とリュウが双子だという秘密を握っている危険人物ということくらいだ。口封じのために、ご馳走という名の賄賂で腹を満たせようとでも思っているのだろうか。
 それとも、オジサマ軍団のお偉いさん達に受けが良さそうな女性秘書が欲しかったから、というところが濃厚かな。だとすれば、秘書の高田さんは男性なので役不足だし、時間が空いている美人社員を確保できなかったのかもしれない。
 それに、もしも副社長がリュウとの仲を知っているとしたら。リュウとの仕事を降ろさない代わりに、都合よく使える私を指名したのかもしれない。


「いいなぁー、私も会食したい」

「とか言いながら、また出張で海外でしょ? そっちの方が羨ましいんですけどー」


 お互いを羨ましがる辺り無いものねだりだよね。と締めくくりランチタイムが終了した。
 職場に戻る途中、リュウに連絡を入れようとスマホを取り出すと。タイミングよくリュウからのメールを受信していた。
 今夜は急遽仕事先で食事を済ませるため、仕事場から近い自宅マンションへ帰るという旨の内容を目にし。少し寂しさを覚えながらも、時間を気にする事無く副社長のお供をすることが出来ることにホッとする。
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