【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
それから…昴さんは少しの間、姿を消してどこかへ行ってたっけ。まだその理由を聞けてないな。





「昴さん」





「ん?なんだい」




質問するだけで怖くなり、スカートをギュッと握りながら昴に問いかけた。




「初めて二人で行ったイベントで昴さんがいなくなった時、ありましたよね?」





「あぁ…あったね」





様子が変わった。この話題は昴さんにとって触れられては困る話なんだ。





「その時のこと、詳しく聞かせてもらえませんか?」




それでも覚悟を決めて聞くって決心したんだ。怖くたって、どんな事実でも受け止める。





「いいよ。その前に席を確保しようか」







ステージから見て中央の席を確保してその場に腰を下ろす。




座って間もないのに空いていた席はファンですぐに埋められていった。




昴は話をする前に不安になっている依乃里の手を握って少しでも落ち着いて聞いてもらえるようにする。
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