【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
仕切りのカーテンが開けられ、一人の青年が依乃里に話しかけると依乃里は顔を伏せながら静かに微笑んだ。






「榛名ちゃん」






「今日も来てくれたんですね昴先輩」






同じ高校の二年生の一ノ瀬 昴(いちのせ すばる)。






保健委員の仕事で時々保健室に来ては依乃里の体調を気にかけてくれる優しい青年だ。






「委員会の報告書を先生に渡しにね。今日も貧血?大丈夫?」







「はい。先輩の顔を見たら元気なりました」





昴先輩の笑顔は私にとって心の秘薬。






どんなことがあっても優しい太陽のような笑顔があれば元気になる。





「無理しないでね」




そうそうこの表情が大好きなんだよね。





配信を見る他に昴に会うのが依乃里の楽しみ。仮病を使って昴を待っていることもしばしば。






依乃里が昴のことを気に始めたのは入学式のこと。






貧血で体調が悪いのを昴が気づいて保健室に運んだのがきっかけで一目惚れをした。







それ以降、依乃里は昴と少しでも話したくて保健室に通っている。






「先輩、昨日の明星タイムさんの配信観ました?」






「昨日は観てないな。榛名ちゃんは見たの?」






「はい。さっきまでアーカイブも観てたところなんですよ」
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