【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
『じゃあこっちに来てくれるかな?安心して。配信で映っているのは俺だけで、他の人は声しか入ってないから』





スタッフの誘導でステージ上がった依乃里は更に緊張がまして、石のように固まってしまう。






『名前を教えてくれるかな?もちろん、匿名希望でもいいよ』





「えと、あの…名前はリアです」





リアというのは依乃里がネットでコメントする際に使っているユーザー名。





名前の由来は依乃里の誕生日である12月5日の誕生星の名前がアトリアであるから。






そのアトリアから“リア”を切り取って自身のユーザー名として使っている。





『リアちゃんだね。どんな質問でも答えるよ。ゆっくりでいいからね』





あ...優しい声。





聞いていて安心する。






いつも配信で聴いている明星さんの声だ。







初めて会った人にも優しく対応して、こちらを安心させるこの人はずっとイメージしてきた明星さんと同じだ。







緊張がほぐれてきた。これなら話せる。







マイクをぎゅっと握って明星が映っているスクリーンをまっすぐ見た。






「私、いつも明星さんの配信を楽しみにしています。えっと…明星さんが配信を続ける理由を知りたいです」
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