甘い夜の見返りは〜あなたの愛に溺れゆく
何て幸せな時間なんだろう。
「2人で料理作るって楽しいもんだね」
「湊さん、手際いいですね」
「忙しくない時は、自分で作るからね」
この家に、何人もの女性が来てるんだよね…
湊さんのこと、女性が放っておくはずがない。聞いてみたい。
「湊さん素敵だから、たくさん、女性が寄ってくるでしょ?」
「そうだね、色々な女性とは付き合ったけどね」
「…そうですよね」
当たり前のこと、聞くんじゃなかった。
分かっていても、湊さんの口から聞くと、嫉妬するのに…
「今、嫉妬した?」
「し、してませんよ。私だって告白されたことくらいはありますし」
突然、手を掴まれ、冷蔵庫に押し当てられた。
「湊さん…」
「昔の話でも、どんな些細なことでも、他の男の話は嫉妬する。何でも俺が初めてでいて欲しいのに」
「湊さんだって、色々な女性とって」
「それは…結羽に嫉妬して欲しくて言ったのに」
寂しそうに私の目をじっと見つめる。
「ただ、俺はこの家には、結羽以外は入れたことがない」
「えっ?」
「自分だけの空間に人を入れたくないんだ。家は唯一、自分に戻れるから…」
「湊さん…」
「何言ってんだ俺…結羽の前では、本当の自分でいても許されると思って…」
凜として、少し意地悪な湊さんの、弱い姿に胸がキュンとした。
「どんな湊さんでも素敵ですよ」
「結羽…」
獲物を捕えるような眼差しで、湊さんの顔が近づいてくる。
けれど…
「あのー、鍋が吹いてます」
「うわっ!」
2人で笑いながら料理する時間も、凄く楽しかった。
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