甘い夜の見返りは〜あなたの愛に溺れゆく
【それぞれの愛の深さ】
湊さんの提案で、佐々倉フーズの業務に影響が無い程度に、西条HDに研修として、訪問する機会が増えた。
孝さんの管理業務は勿論のこと、野木さんは、秘書としての仕事も、合間に教えてくれる。
2人は仕事では、今まで通りに接しているように見えるけど、孝さんが自信に満ちあふれているのが、一緒に仕事していて分かった。
ある日、野木さんにランチに誘われて、2人で食事した。
「野木さん、あの後お二人は…」
「えぇ、付き合う事になったの。専務と佐々倉さん以外には内緒だけどね」
「そうですか!孝さん見て、そんな気がしていました。嬉しいです!」
「ありがとう」
「時々、野木さんが、他の男性社員に声を掛けられてると、気になってチラチラ見てる姿も、見てて可愛いです」
「そうなのよね…一緒に仕事してるとそういうとこが見えちゃうから」
「孝さんは、やきもち妬かないんですか?」
「彼はそんなタイプじゃないと思ってたけど、結構やきもち妬きで」
野木さんは困ったような顔をしながらも、とても嬉しそうだった。
凜とした野木さんが、とても可愛く見えた。
「兄弟ですね」
「専務よりは、ましだと思うけど。内緒だけど、孝さんに『悪い虫が付かないように見張っとけよ』って言ったらしいわよ」
嬉しさと恥ずかしさで、頬が真っ赤になるのが分かった。
「私達、家が近くてね。殆ど彼の家に居ることが多いから、今度、一緒に住む事になったの」
「えっ!」
「さすがに一緒の住所じゃまずいから、私は実家に住所変更して、孝さんの家にね」
「そ、そうなんですね」
鍵を渡されてるだけで緊張している私の、もっと先を進む野木さん。
幸せそうで安心した。

未だに慣れない、湊さんの部屋で帰りを待つ時間。
ガチャッとドアを開ける音に、毎回ドキッとする。
「お帰りなさい」
「ただいま」
玄関まで行くと、いつもぎゅっと抱きしめてくれる。
いつものことなのに、ずっとドキドキしている。
夕食が終わり、片付けは、いつも手伝ってくれた。
「お仕事してて大丈夫ですよ」
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