再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
「あいつは、響ちゃんのお別れのメッセージに気付いていない。一旦お別れは保留にしてくれないかな。別れるかどうかは、あいつが目を覚まして話をしてからでも遅くないと思う」


私は別れたつもりでいたけど、悠くんは私のメッセージに気付いていなかった……ううん、気付けなかったんだ。

音沙汰がなかったのは、昏睡状態になったからで、私を嫌いで避けた訳じゃなかったんだ。


「話を聞いてくれるのでしょうか……もしかしたら私の顔なんて見たくないかも知れません」


私に対する印象はマイナスになっているかもしれない。


「それはないよ。俺が保証する」


どうして、川端さんはそう言い切れるの?


保証すると言われても、不安をぬぐい去ることは出来なかった。

でも、一度は向き合うべきだと思い直した。

悠くんが無事に目を覚まして、本人の気持ちを知らないことには真相は分からないんだから。


「本当は響ちゃんをすぐに病院に連れてやりたいけど、今日は北川の叔母さんが見舞いに来てて行けないんだ。俺、叔母さんに警戒されているから」


川端さん、一体何をしたの?

疑問に思い首を傾げると、私の疑問を察したのか、川端さんは肩をすくめて苦笑いを浮かべながら教えてくれた。


「響ちゃんくらいの歳の頃、やんちゃしてたんだよ。その頃に北川と知り合ったの。叔母さんとしては、北川が元ヤンの俺と関わって欲しくないって訳」


川端さん、いい人そうなのに……。

ホストのようだと感じた第一印象は、親戚のお兄さんのような面倒みのいい人に変わった。
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