再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません

悠くんが目を覚ましたら、作ってあげたいな……私と関わってくれるか分からないけれど……。

ぼんやりと眺めていると、ブレザーのポケットに入っているスマートフォンが振動する。

スマートフォンを手に取ると、川端さんからの着信だった。

辺りを見渡して見ると、生徒はほとんどいない。

私は奥の書架に場所を移し、着信に出た。


「もしもし」

「響ちゃん、俺、今病院なんだけど、お、落ち着いて聞いて」


焦りのある川端そんの声に、心臓がぎゅっと掴まれたような心地に陥る。


「川端さん、どうかしたのですか?」


悠くんは、無事なの……? それとも……。

くらり、と目眩が襲いかかってきた。

最悪のケースを想像してしまい、立つこともままならない。


「川端さん、話を続けてください」


それでも、どんな結果が待ち受けようが、川端さんに耳を傾けなければいけない。

私は覚悟を決めて、川端さんが切り出すのを今か今かと待ち構えていた。







「────そうですか……はい、分かりました」


川端さんとの通話を終えると、私はしゃがみこんで膝を抱えた。


「うっ、ひっ、く……」


嗚咽を抑えたくても、次から次へと溢れる涙のせいで抑えられない。

これは現実? それとも夢?

私は確かめるように先程の川端さんの言葉を、鮮明に思い起こした。

そして、いてもたっても居られなくなり、図書室から飛び出した。



< 164 / 182 >

この作品をシェア

pagetop