再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
頭の中で反芻する北川さんの声。

耳元で話されると、胸の中がきゅうっとなって、体が熱くなる。

頬も熱くなって、私は北川さんに見られないように顔を俯いて隠した。


「敬語も辞めてくれると嬉しい」


北川さんの更なる要求に、私は目を丸くさせた。

高校一年の私が、大学二年の北川さんにタメ口で利いていいんですか?

かつて通っていた女子校は幼稚園(例外的に共学)から大学まであり、垣根を越えて仲が良かったけれど、礼節を重んじていた。

上級生(お姉さま)に対しては絶対に敬語だった。

例え、親戚や姉妹同士だろうが、学校の中に入ればそれは絶対だった。

だから、年上の人にタメ口で利くと言う考えは私の中になかった。


数分ほど黙ったままでいた私。


まだ勇気はないけど、ストーカーに諦めて貰うためには必要なことなんだ。

知り合いの私の為に骨を折ってくれた北川さんの為にも、腹を括らなくては。


私は意を決して、真っ直ぐ北川さんを見つめ、震えそうな唇を開いた。


「悠くん、でもいい……?」


首を傾げながら、好きな人の名を恐る恐る呼んだ。
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