再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
悠くんにあげたかったマカロンはお父さんと柴田さんにあげた。

二つ残ったものは朝食後のデザートととして私が食べた。

手作りのマカロンは三日しか持たない、別の日に持ち越せばお腹を壊すこと間違いない。


お昼前に部屋着からシンプルなAラインのシャツワンピースに着替える。

黒い大きなリボンが付いた麦わら帽子を被り、日傘を差して家を後にした。

帽子と日傘を駆使しても、猛暑の日差しは灼けるように暑い。

心頭滅却してもこの暑さはごまかせない。

悠くんに一人で外に出るなと言われた。

でも、実は一人で出かけても大丈夫になったんだ。

なぜなら、八月に入ってからあんなに悩まされたストーカー行為が突然止んだから。

ストーカーは私に飽きてくれた。

本当なら解決ということになって、仮の彼氏彼女は解消すべきだ。

だけど、私は本当のことを悠くんに言えずにいた。

一緒にいる内に悠くんの傍が心地よくなって、離れがたくなってしまった。

悠くんが好きな子ができたと言い出さないのをいいことに、私は存在のしないストーカーに怯える振りをしている。

もう少し仮の彼女として近くにいさせてね?

私は胸の中にまとわりつく罪悪感を抱えながら、日差しが照りつける中、駅を目指して歩いていた。



目指したお店は思ったより空いていて、店員さんにすぐに席を案内された。

古民家を改装したのかような内装は、ノスタルジックで落ち着いた雰囲気がある。

所々に吊るされた風鈴が控え目に響いて、店内に清涼感を与えた。
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