僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
だからお願い。僕を安心させて?
ここ数日、葵咲ちゃんの帰宅が遅い。
学校が終わった後、用事があるとかで帰ってくるのがぐんと遅くなったのだ。
僕の仕事が終わるのが毎日十九時半頃だから、今までなら彼女の方が先に帰宅して家のことを色々してくれていたんだけど。
このところ、二十時に帰宅する僕とほんの少ししか時間にズレがないみたいだ。ともすると、僕の方が早い日もあって。
葵咲ちゃんのほうが早ければ「お帰りなさい」と玄関まで走り出てきて出迎えてくれるのがとても嬉しいんだけど……そういう日でさえ部屋の暖まり具合とか、夕飯作りの進捗状況とかで僕には常との差が分かる。
「葵咲、学校、そんなに忙しいの?」
夕飯のとき、何気ない調子で問うと、葵咲ちゃんが少し戸惑った顔をして「……ご、ごめんなさい、夕飯の支度、遅いよね」と眉根を寄せた。
僕の質問とは少しずれた返しに、違和感を覚えてしまう。
「ねぇ葵咲、僕はそんなことを気にしているわけじゃないんだよ。キミの帰りが遅いときは、僕が夕飯を作ればいいだけの話だし。家事は手があいてる方がやればいいっていつも話してるよね?」
静かな声音でそう聞けば、葵咲ちゃんは一瞬僕から視線を逸らしてから、「そうだね」と決まり悪そうにつぶやいた。
学校が終わった後、用事があるとかで帰ってくるのがぐんと遅くなったのだ。
僕の仕事が終わるのが毎日十九時半頃だから、今までなら彼女の方が先に帰宅して家のことを色々してくれていたんだけど。
このところ、二十時に帰宅する僕とほんの少ししか時間にズレがないみたいだ。ともすると、僕の方が早い日もあって。
葵咲ちゃんのほうが早ければ「お帰りなさい」と玄関まで走り出てきて出迎えてくれるのがとても嬉しいんだけど……そういう日でさえ部屋の暖まり具合とか、夕飯作りの進捗状況とかで僕には常との差が分かる。
「葵咲、学校、そんなに忙しいの?」
夕飯のとき、何気ない調子で問うと、葵咲ちゃんが少し戸惑った顔をして「……ご、ごめんなさい、夕飯の支度、遅いよね」と眉根を寄せた。
僕の質問とは少しずれた返しに、違和感を覚えてしまう。
「ねぇ葵咲、僕はそんなことを気にしているわけじゃないんだよ。キミの帰りが遅いときは、僕が夕飯を作ればいいだけの話だし。家事は手があいてる方がやればいいっていつも話してるよね?」
静かな声音でそう聞けば、葵咲ちゃんは一瞬僕から視線を逸らしてから、「そうだね」と決まり悪そうにつぶやいた。