僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
幼なじみからの連絡
 小学校に上がる前、私は今住んでいる町からかなり離れた場所に住んでいた。

 私の小学校入学を機に、母方の祖母との同居を決めて、家族でこの町に移り住んできたのだ。
 私には、ここに越して来る前、前の町で随分親しくしていた女の子(お友達)がいた。

 学年は私よりひとつ上。でもお姉さん然としている感じは全然なくて、世間擦れしていないふわっとした感じの、とても不思議な空気を持つ女の子だった。
 私は彼女のことを「ひおちゃん」と呼び、彼女は私のことを「ききちゃん」と呼んで――。
 それは、大人になった今でも変わらない呼び方になっている。

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