僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
 頭上に束ねていた葵咲(きさき)ちゃんの手を開放すると、僕は代わりに彼女の(あご)に手をかける。

 実際には強く掴んだわけではないのだけれど、葵咲ちゃんはそれだけで諦めたみたいに顔を背けるのをやめるんだ。

 この、葵咲ちゃんとの間で取り交わされる、ちょっとした駆け引きみたいなやり取りが、僕は結構好きだ。

 葵咲ちゃんは自分が求めた結果、エッチなことになると思わされるのが苦手みたいで。
 一事が万事、僕のせいで……になるような展開を割と好む。

 だからと言って本当に感じてしまうとその限りではない。
 一度タガが外れてしまうと、葵咲ちゃんは僕がたじろいでしまうほどに責め上手な女の子に転じてしまうんだ。

 そのスイッチの切り替わりまでの過程が、何ていうか“プレイ的”でたまらない。

 葵咲ちゃんを、恥じらいなんて感じられなくなってしまうほどに乱れさせることが出来たら、僕はすごく嬉しいし、満足なんだ。
 でも、まぁ……そのあとは僕の方が恥ずかしくなってしまうくらい責められてしまうのが、ちょっと困りものなんだけど。

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