【クリスマス短編②】想いを伝えるための聖なる夜
伝えたい想い


「萌衣、これやるよ」

「え、なに?」
  
 俺の目の前にいるその女は、俺の好きな人だ。

「えっ!これ期間限定の、いちごミルクシュークリームじゃん!」

 俺が渡した期間限定のシュークリームを見て、嬉しそうに笑う萌衣に、俺はずっと片思いをしている。
 もう片思いしてから一年になるけど。

「萌衣が食べたいって言ってたの、聞いてたから」

「ありがとう、結城! めっちゃ嬉しい!」

 嬉しそうに「後で食べるね!」と冷蔵庫の中にしまう萌衣のその笑顔は、俺にとって嬉しいことだ。
 萌衣の笑顔を見ているだけで、俺はホッとする。

「ちなみに350円な」

「はあっ!? お金取るの!?」

「冗談だっての」

 その笑顔も、その怒った顔も、俺にとってはすべて愛おしいと思うこと。
 萌衣が誰かのものになったらって考えたら……正直辛い。
 
 だけど萌衣には、好きな男がいるらしい。 その相手が誰なのか、俺は知らないけど。
 だけどそれを聞いて、複雑な気持ちになるのは確かだった。

 萌衣の好きな男って、一体誰なんだろう。 どんな男なのか……。
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