敏腕パイロットとの偽装結婚はあきれるほど甘くて癖になる~一生、お前を離さない~
洗練された所作に釘づけになるのは、グランドスタッフがそうした立ち居振る舞いに気を使わなければならない職業だからだ。

ところが重い荷物を運んだり、走り回ったりしているうちに頭から飛んでしまう。

コートを預けると、黒いスラックスをはいた月島さんのスタイルのよさが際立った。

足は長いし、逆三角形の体つき。
おそらく鍛えているのだろうなと思わせる。

月島さんは私の背中を押してエスコートしてくれた。動作がスマートだ。


窓際の席に着いた私たちは、早速メニューを広げる。

うーん。なにを頼んだらいいの?

普段居酒屋とファミリーレストランくらいしか利用しないので、こんな高級店ではどう振る舞ったらいいのかよくわからない。

しかも、メニューに価格がないのが気になる。
払えるかしら、私。


「どうした?」

「こんなすごいお店だと思ってなかったので、その……」

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