ダージリンティーの香り
高々とナイフを持ち上げる。


まるでとても名誉なことの様に。


胸を張って。


「まずは・・・」


振り下ろす先には、私の親友。


アスミの胸元から骨盤の辺りから、ズーッと鈍いナイフの通る音が響く。


そして出来た赤い液体の漏れる深い穴へ私は手を突っ込み、何かを掴んで引っ張り出す。


ゴリゴリゴリッ。


「これは大腸・・・これは肝臓・・・」


私はありったけの力でアスミの体の中の"もの”を次から次へと引っ張り出す。


肉が破かれ、骨が砕かれ、神経をつつかれ...
死にたくても死ねない、アスミの叫び声が暗闇の中に木霊する。


暗くてよく見えない。


アスミに恨みなんて無い。


多分無い。


だって1番の親友なんだから・・・。


夜闇に紛れて私は涙を流した。


「直ぐに助けてあげるからね・・・。」


だから安心して、

アスミ。
< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop