すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
 柳川(やながわ)、元々長男気質で面倒見のいいやつではあったけれど、その女の子――幼なじみらしい――には異常に過保護で。

 引っ越しを機に学校までの道順が分からなくなったらしいその子を、無事通学させるためとか何とか言って、このところ毎朝一緒に登校してきていたのは私も知っている。

 相手の女の子に対して、子供じゃないんだからいい加減自力で何とかなさいな、と思わなかったか?というと嘘になる。

 だってだって。私も柳川と登校してみたかったんだもん!
 

 その2人が、どうしたの?


「キスしてたとか……そういうのだったら聞きたくないよ?」

 思わず溜め息混じりに(かえで)を睨んだら、「バカね、そんなんだったらいくら何でも黙ってるわ、愚か者め〜!」と頭をぐりぐりされた。

 それもそっか。
 楓は優しいもんね。


「じゃあ、なに? まさか柳川、あの子にフラれちゃったとか?」

 冗談のつもりでクスクス笑いながら自嘲気味に言ったら、「ビンゴ!」とか、嘘でしょ?

 だって柳川、(くだん)の子は鈍感すぎて、結構ストレートに告白しても冗談だと思われるっていつも溜め息ついてたよ?

 私、それを聞いた時、付き合うとかは当分なさそうかな?って安心したのと同時に、フラれることもないって言うのは、ハッキリしなくて私、身動き取れないじゃんって内心ヤキモキもしたの。

 なのに?
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