クールなイケメン総長さまの溺愛には注意です!

「良かった」



私が言うと、本当に安心したようにため息をつく。そして……表情が柔らかくなり、ぽん、と私の頭に手をのせる。


………ドキッと跳ねる心臓。


さっきまでのモヤモヤは一気に晴れた。


やっぱり私は太陽が好き。だけど、私と太陽には何か見えない壁があって、一度は告白しようと決心したものの、躊躇ってしまう。


おそらく過去のことが関係しているのだろう。私の記憶は………いつ戻るのか。


それだけが気がかりだ。



「ありがとうな」


「………何が?」



太陽は……今、何を思って私と接していますか?私と同じ気持ちなら……いいのに。


なんて叶いもしない願いを心の中で思う。


私の恋は………叶うのだろうか。



「帰るか」


「うん」



それからは何事もなかったかのように太陽は笑うと、自然と手を、ぎゅっと握ってきた。


さりげない仕草にトクトク……と心地よく心臓がリズムを刻む。
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