忘れたくない、私をみてよ。
「今日、雨だよん、明日も。」


カホは高校の掃除係として出会った私をどう思ってるのか。考えても分からないなら聞けばいいのに私は見ないふりをしていた。それがあんなことになるとは。


「今日、一緒にゲーセン行こう!」

カホが他の子に話しかけられてる。何気なく見つめてたら、

「灯里っちも、どう???」


何でそんなことで目を輝かせて、鼻息アップなのか私にはわからない。ここはやんわり断るべきだ。私は彼女を傷つけないように言葉を紡ぎ出した。


「ふーん、仕方ないな。」


カホが予想通りの言葉を言いガッツポーズ。友達付き合い上級の証だよね。ただ、棒読みなのが少し気になったけど。


「またね、灯里っち。」


帰ったら犬のアサヒと散歩しなくちゃ。私は亡くなった弟の名前を受け継いだポメ、(ポメラニアン)アサヒを愛している。アサヒは純子おばさんからの誕生日プレゼント。今からちょうど二ヶ月前、3月3日のひな祭りに。私はひな祭りに生まれた。名前は違うけれどね。

アサヒはオナラをする。たまに顔の前でするからきっとアサヒは本当の弟には嫌われる。だって浅陽は、潔癖症だったから。私にも当然触らなくてゲーム機貸すことすらできなかった。小さい頃は、貸してって言っても意地悪してかさなかった私は、今とても後悔している。





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