冷めない熱で溶かして、それから。


 けれど、それでもいいかなと思ってしまう。
 嫌なことはぜんぶ忘れて……忘れさせてほしい。

 それで、松野くんでいっぱいになるの。


「私も、もっと松野くんに近づきたいよ……」

 ここ最近、ずっと物足りなさを感じていた。
 それがいま、満たされようとしている。


 私の言葉が同意の合図となって、松野くんはゆっくりと唇を重ね合わせた。

 優しいキスに、私は目を閉じて受け入れる。


 それから指を絡めるようにして、ギュッと松野くんに手を握られた。

 ドキドキして、胸が熱くなる。
 全身に熱がまわって、ただただ目の前の松野くんで頭がいっぱいになった。


「んっ……松野く」

「嫌なことは全部忘れてください。無理なら俺が忘れさせます」


 大丈夫、もう十分松野くんのこと以外は考えられなくなっているから。

 この甘くて幸せな時間が続いてほしいと願いながら、私は松野くんに身を委ねていた。

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