契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 ミルヴェイユの中での祖父の存在感は大きい。それを聞いて杉村も石丸も口をつぐんでしまった。

 会長が認めているのであれば二人に言うことはない。しかもすでにそこにまで挨拶を終えているとは思わなかった。

 石丸はそれにも衝撃をおぼえたようだ。槙野にそっと歩み寄る。表情は硬いままだった。

「会長にまでご挨拶されているのなら僕らに言うことはありませんよ。でも、美冬さんのことは社員みんなとても大事に思っているんだ。そこはご理解ください」

 槙野はそれにも笑顔で答える。
 ビジネスマンとしては槙野の方が明らかに分があるのは間違いのないところだった。

「もちろんだ。俺だって大事に思っている。それに結婚式ではそちらに負担をかけることになるしな」
「負担?」
 槙野のその発言に石丸が首を傾げる。

「美冬がこちらのデザインのウエディングドレスが着たいと言っている。俺も立場があるのでニュースリリースを弊社でもする予定にはしている」

「あら、そっちでもするの?」
 それを聞いて驚く美冬だ。

「ニュースリリースはする予定だ。会見まではしなくてもいいと考えている。ミルヴェイユだけという訳にはいかないだろう」
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