契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした

22.狼の番(つがい)とは

 祖父から退院してほぼ完治したので三人で食事に行こうと声がかかった。
 三人で会うのは病室で会った時以来である。

 祖父も退院してきて元気に過ごしていると聞いてはいたが、美冬もなかなか会えなくて、会うのは久しぶりなのだ。

 そんな声が掛かり、槙野が迎えに来ると言うので、美冬はデザイン室に向かった。

 一時期は盗作騒ぎなどでガックリと湿った雰囲気になってしまったデザイン室だったが、美冬が何かにつけフォローすることで、最近は元気を取り戻しつつあった。

 そのメンバーがいつものように美冬に服を選んでくれる。
 その和気あいあいとした様子に美冬は本当に嬉しくなったのだ。

──みんな、元気になって本当に良かった!

 いつものようにあれが似合うとか、こっちが可愛い、と美冬はマネキン状態だ。

 結局、肩の方が白いレースで下に向かうにつれ、濃いフューシャピンクのグラデーションの花柄の模様の入った珍しい生地を使ったワンピースを選んでもらってそれに着替える。

 こんなグラデーションもあり、華やかな服は普段外で着ることは出来ないけれど、こんな時ならば許されるのではないだろうか。
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