無邪気な男子に惚れられました

その性格が。




「ねーだいじょーぶー?」


(わ、私?)


「だ、大丈夫です。」


「大丈夫なわけないよね。」


「じゃあなんで聞いたんですか」


「んー…。助けて欲しいかわかんじゃん。」


(え?私を助けようとしたってこと?)


「大丈夫じゃないって言ったら助けて欲しいってことでしょ?…まあ君は大丈夫って言ったからあんまり首突っ込まれたくないんだろうけど。」


(見ず知らずの人に助けを求めるなんて図々しいしかっこ悪い。)


「え、いやちょ、泣くなよ」


(え…うそ。)


「ごめんなさい。し、失礼します。」


(はっっず。人前で泣くとか。)


「待ちなよ。謝罪逃げとか許さんし。そこの君もね」


「えっ」


優來が振り返る。



「俺見てたけど思いっきり引っぱたいてたよなー。あれ、女子としてじゃなくてふつーに人間として引くし終わってるわ。あくまで個人の感想だけどなっ」



「なにそれ…証拠なんてないじゃん!!!なんで私が大事な幼なじみにそんなことするわけぇ?酷い。酷いよぉ…。」

うっわでた。ぶりっ子の特徴の1つ、母音攻め。
これどうしても顔ひきつるんだよな。


「うわ碧斗お前優來ちゃん泣かすとか最低かよ。」


(この人碧斗って言うんだ…。ってそんなことどうでもいいっ。今はこの人が…)

「優來ちゃん大丈夫?!」


「碧斗くん最低。」


(…は?いやいや散々あんた達だって。てか私もか、侮辱してるのは。でもこの人が悪く言われるなんて私の気が収まらんし。)



「…ざけんなよ。音聞こえたくせに見て見ぬふりしてる奴も。パン買わせて最終的には要らないって自分勝手な奴も。わざわざゴミとるフリして手ぇ出すやつも。人気者には反抗できないクセに急にいい子ぶって表面だけの正義貫こうとしてんじゃねーよ。そんなことやったって魂胆丸見えのただのブスだよあほ。」


(…めっちゃスッキリしたぁぁぁぁぁ)


「なにあいつ。」


「自分だって反抗してなかったくせに。」


(あ、やべ。)


「ぶっ…ははっ!おまえおもしれー!」


「え?」


「その性格俺好きだわ〜笑」


(え、まじ)



「え、」


「タイプだわー。いや、タイプっつーかかっこいい。」


「そんな事言ってくれる人初めてだわ。ありがとう。」


「その性格でいればいいんじゃない」


「そんなことしたらあんたもいつか傷つくかもよ」


「え?いや俺傷つけられるの嬉しいかも…」


「ふはっ」


何この人。超良い奴じゃん。


「とにかくさ、その性格俺すっげー好きだわ。そんなズバズバ言えるかよ普通。誇りを持ってその性格貫けよな。」


性格を貫く


(なんかいいこと言ってるわ。)


「真面目でよくそんなこと言えるね。私だったら恥ずかしいや。君のその性格尊敬する。」


「いやそんなこと言われたら少し恥ずいし。嫌がらせで言ってる?」


目を細めてジトーっと見てくる。


「ん、別に」


久しぶりに誰かとこんなに笑った。

なにこれ。なにこれなにこれなにこれ!!


楽しい!!!


「笑った方が可愛いじゃん」


意外とタラシか…?

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