雨降り王子は、触りたい。



私はいつもそうだ。

基本的に、思ったことをはっきり言えるタイプではあるけれど、自分のキャラに合ってないことは口に出すのを躊躇ってしまう。



「…ちょっと待ってね」



私はスマホをギュッと握った。

それに付けているのは、シンプルな赤のハードケース。
透明じゃないから透けて見えないけれど、裏にはソラキュアのシールをはさんでる。



本当は透明のケースにして、シールを見えるようにしたい。

だけど私がソラキュアが好きだということを知っているのは、和佳とのえるだけだ。

スマホをポケットに仕舞うと、リュックを背負う。



「お待たせ」



ツリ目や赤髪の見た目が相まって、私は気が強そうとか、サバサバしてそうとか、そういうイメージがついていて。

ソラキュアが好き、だなんてキャラに合ってない。
恥ずかしくて、言えない。


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