雨降り王子は、触りたい。



ちなみに夏休みの間も、文化祭準備で学校に来ることが何回かあって。
その度に三咲とは顔を合わせていた。

相変わらずすれ違うたびに、子どもみたいな言い合いばかりして。

だけど会えただけですごく、すごく嬉しかった。



夏休みを挟んだことで肌が焼けた人やイメチェンした人もいたけれど、三咲は何ひとつ変わらない。

色白で細身で金髪の、チャラメガネ王子のままだ。

もちろん私たちの関係も変化はなし。

近付いていないものの、遠ざかってもいない。

だけど私はそれだけで、充分満足だ。



「この段ボールたちだ!」



のえるの大きい声が響き、はっとする。

そうそう、私たちは空き教室に置いていた衣装を取りに来てたんだ。


< 231 / 451 >

この作品をシェア

pagetop