雨降り王子は、触りたい。
「……店長に休憩もらってくる」
パタン────。
扉の奥へと姿を消した。
残された私たちには、後ろに並ぶカップルたちの痛い視線が突き刺さる。
「す、すみませんでした…っ」
そそくさと列を後にした私たちは、店の裏へと回り込んだ。
なんとなく、無言のまま。
裏口の前で萌絵ちゃんを待つ。
「……お待たせ」
しばらくすると、カチューシャをとりカーディガンを羽織った萌絵ちゃんが姿を現した。
少しラフなその姿も、可愛らしい。
「……行こっか」
切り出した市川について、私たちは歩き始める。