極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 ひたむきな表情に穏やかだった鼓動が跳ねる。もっと彼を見ていたいと強く思う。

「どうしよう……」

 今までとは違うときめきがまた新しく胸のうちに生まれてしまった。



 

 メインダイニングの海の見えるテーブルで朝食を食べてから、翔一郎さんに連れられて船内を歩く。

 朝デッキを走る翔一郎さんを見たことは、なぜか本人には言えなかった。冗談めかして言ってしまおうと思ったのに、いざ口に出そうとするとためらってしまう。
 自分の心の中にざわめく何かがあるということを認めるのが怖かった。

「ここはバー?」
「ああ。ピアノバーだ。昼間は営業していないんだが、特別に貸し切りにしてもらった」

 連れてこられたのは落ち着いた雰囲気のバーだった。
 セレブリティクイーンの内側の区画にあるので、窓はない。あたたかな琥珀色の間接照明がウッドタイルの壁を照らしている。
 そのバーの真ん中に黒く輝く大きなグランドピアノがあった。

「立派なピアノですね」
「いいピアノだ。調律もしっかりしている」
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