極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 涙がこぼれていることを意識すると余計に泣けてきた。

「わたし……わからない。なんで涙が出てくるの?」
「ごめん。彼女とは何もない。断るのが面倒で、ただ同じテーブルで飲んでいただけだ。特別なことは話していないし、ましてやそれ以上のことなどありえない」
「そう……なの?」
「そのあとは一人で夜の海を見ていたんだ。心配をかけて悪かった」

 もう一度わたしを強く抱きしめると翔一郎さんはうれしそうに笑った。まるで少年みたいに純粋で、少し照れくさそうな笑顔。

 そして「鞠香」と大切なものの名を呼ぶように、小さくつぶやいた。

「妬いてくれたのか?」
「妬いて……?」
「私は嫉妬した」
「え?」
「きみと親しげに振る舞う弟に。それだけじゃない。きみに興味を持つ人間全員に嫉妬している」

 まさか。
 それじゃ、まるで……。

「昨日はその気持ちを抑えられなくて……。これ以上きみを怖がらせないようにと離れたのに、それが原因でまた泣かせてしまうとは」

 わたしの髪をゆっくりとなでる大きな手。
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