極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 扉の外から声がかかったので、覚悟を決めて服を脱いだ。バスローブも用意されているし、最悪でも全裸で脱出しなければならないような羽目には陥らないだろう。
 床を汚さないようにワンピースを脱ぐと、赤ワインがストッキングまで染みている。

「あーあ」

 本当に染み抜きできるのかしら?

 まあ、もう半ばあきらめているのでできなくてもかまわないし、一流クルーズ船のランドリーサービスがどんなものか体験できるのはかえってわくわくする。
 フォーマル風の服がこれしかないので、今後船内のきちんとしたディナーやパーティーに出席できないのは残念だけど……。

 シャワーを浴びて脱衣室に出ると、そこには簡単に着られる浴衣のような前開きのワンピースが用意されていた。
 幸い下着類は残されていたので、さっさと着替え、髪を乾かしてから外に出る。
 そこには先ほどの女性スタッフが控えていた。

「あ、お待たせしてすみません」
「いいえ、お気になさらないでください。足りないものはございませんでしたか?」
「はい、ありがとうございます」

 静かに笑む女性スタッフに先導されて、海堂さんの待つ部屋に戻る。
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