極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「あのね……、このままキスしたら止まらなくなっちゃう、かも。そうしたら出かけられなくなるから。……またあとでね?」

「くっ」とうめいて、なぜか頭を抱える翔一郎さん。

「俺の妻がかわいすぎて困る」

 まだ妻じゃないし、かわいすぎて困るってなんだろう。

「じゃあ、せめて朝食の給仕をさせてもらえないか?」
「給仕?」

 そう言って翔一郎さんは朝食のトレイからイチゴを取り、わたしに差し出した。

「あーん」
「あーん……?」

 思わず開けてしまった口に翔一郎さんがイチゴを入れる。
 宝石みたいにつやつやしたイチゴは予想以上にフレッシュで、果汁があふれて口の端を汚した。

「んっ!?」

 翔一郎さんの顔が止める間もなく近づいて、唇の端についた果汁をなめた。唇からあごにかけて舌が伝う。

「翔一郎さん!」
「キスはしてない。汚れを綺麗にしただけだ」

 わたしが怒って見せると、翔一郎さんは両手をあげて『何もしていない』と主張する。
 つい笑ってしまって、さっきのキスはうやむやになった。





 午前中は二人きりで部屋にこもってのんびりと過ごした。
 まるでハネムーンクルーズみたい。お互いのことだけを考えて過ごす、ゆったりとした時間。ほんの半日だから、ハネムーンのお試し版みたいなものかしら。
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