極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「鞠香」

 翔一郎さんが差し出した手のひらに手をのせた。
 ゆっくりと階段をおりるわたしたちの上に、ゲストやスタッフが白い花をまいてくれる。

 まだ陽がのぼりきらない昼前のさわやかな光。
 結婚を祝福するようにきらきらとまぶしく輝く海。
 みんなの笑顔。
 翔一郎さんの優しい微笑み。

 結婚って不思議だ。
 翔一郎さんにエスコートされながら、父と母のことを思う。

 まったくの他人と家族になって、重い責任と義務を自ら背負って。
 一人だったら味わう必要のなかった苦しみもあるだろう。道がすれ違うことも、もう逃げ出したいと感じるような出来事もあるかもしれない。
 わたしの両親のように。

 それでも。
 そんな未来がいつか来る可能性があるとわかっていても。
 この人と一緒にいたい。
 喜びも悲しみも、この人とわかちあいたい。

 この気持ちは一時の激情だけではない。
 わたしが選んで、わたしが決めた。
 彼が選んで、彼が決めた。

 その意志が、わたしたちの結婚のスタートライン。
 極上の幸福に向かって、これから二人で歩いていくのだ。
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