極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「ふぅ……」

 鞠香が部屋まで着つけに来たリサたちと結婚式についてあれこれと話しながら二階に上がっていって、もう一時間以上経つ。

「翔一郎さん、お待たせしました」

 グランドスイートの二階から、ようやく鞠香の声がした。

「いや。……まり……か?」

 見上げると、螺旋階段の上には――。
 本物の女神がいた。

 艶のあるゴールドのドレスはワンショルダーで、細かなプリーツが肩から床まで流れるように続いている。
 胸の下に広めの帯があり、肩とウエストを彩るビジューが華やかだ。

「…………」

 何か言わなければと思うのだが、言葉が出ない。
 
「どうしたの、翔一郎さん?」

 螺旋階段をゆっくりとおりてくる鞠香は神話の中の美の女神のようだった。
 鞠香の動きにしたがって、イブニングドレスの裾がしなやかに揺れる。体のラインにぴったりとそったそのドレスは鞠香のスタイルのよさを際立たせていた。
 二階からリサや女性スタッフがニヤニヤとこちらを見ているのはわかっているが、鞠香から目が離せない。

「このドレス、どう? 派手すぎないかしら」

 階段をおりきった鞠香が俺の目の前でくるりと回ってみせた。

「いや……」

 鞠香の所作は上品で美しい。
 本人は意識していないかもしれないが、優雅な身のこなしや社交イベントでのマナーなどが自然とできている。
< 237 / 252 >

この作品をシェア

pagetop