極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 つきあたりにはドアが一つだけある。船尾の空間はその一室が占めているのだろう。

「私の部屋だ」
「…………」

 わたしは出航地であるイギリスのサウサンプトン港で、セレブリティクイーン号を見上げた時のことを思い出した。

 この船、すごく大きかったよね……。

 決して狭くはない、むしろイギリスで二番目に大きな港であるサウサンプトン港。そのクルーズターミナルに鎮座するセレブリティクイーンは巨大なビルに見えた。
 全長三百十メートル、高さ十三階層というサイズは伊達ではない。

 その船尾の一角を占める部屋?
 いったいどれだけ広くてゴージャスなのか想像もつかない。

「海堂様、お帰りなさいませ」

 翔一郎さんがドアのチャイムを鳴らすと、中から金髪碧眼のバトラーが現れた。エリオットさんだ。

 もしかして。
 この階層にこのロケーション、専属バトラーの存在。
 ここは、セレブリティクイーンで最上級の『グランドスイートルーム』なのでは……?





 わたしは翔一郎さんに文句を言うのも忘れてわくわくしていた。
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