極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 家族での船旅は過去のこと。もっと今を楽しんで、未来に思いを馳せよう。

「わあ、素敵!」

 エレベーターを降りると、そこには巨大な温室のようなガラス張りの建物があった。
 船の屋上とは思えない豊かな緑の中にカフェがある。そこは自由に出入りできるスペースのようで、人々がリラックスして談笑していた。
 わたしと翔一郎さんもぶらぶらと歩いて、その温室の中に入っていった。

「コンサバトリーだ。冬の寒い時期でも日差しを楽しむことができる」
「イギリス人は日光浴が大好きだって聞きました」
「そうだな。緯度が高い国だと夏以外は夜が長い。日差しは貴重だからな」
「なるほどー」

 翔一郎さんは世界を相手に仕事をしているせいか、話題が豊富で話していて楽しい。
 これでモデル並みのスタイルで俳優さんみたいにかっこいいんだもの。もててしょうがないだろうなあ。

「鞠香」
「え? なんですか?」

 翔一郎さんから腕を差し出される。

 今日はネイビーのカジュアルなスーツで、ネクタイはしていない。
 シアサッカーの生地でややゆったりしているのだけど、体に合わせて作られたスーツは彼の余裕のある大人っぽさを際立たせていた。
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